“どベンチャー”で働いていたデザイナーが考えるスタートアップ向きなデザイナー像

当時からIT系のデザイナーであれば誰もが目指すデザイナーのユートピア”Goodpatch”さんからのお誘いを断って(しかもお願いしたのは僕なのにもかかわらず)、従業員数たったの6人、”SlideStory”以降名前を聞くことのなかった nanameue社 にジョインしたとき、周りの人間は僕の”奇行”に驚きました。

結果的に、 nanameue に努めていた2年近くの間、自分自身の120%の価値を発揮することができ、技術面、精神面、闘争心←などあらゆる部分で大きく成長することが出来たと自負しています。会社との相性が良かった僕が会社に価値を”引き出してもらっていた”という方が正しいかもしれません。

どんなタイプのデザイナーがスタートアップ向きなのか、個人的に僕が考える”スタートアップと相性が良いであろうデザイナー像”について書いてみたいと思います。これからの進路を考えているデザイナーの方や、デザイナー採用を考えているスタートアップのオーナーの方などに読んでいただけるとうれしいです。

本記事におけるスタートアップ

新し目なことをやっている中小企業のことを総じてスタートアップと呼んだりしますが、本記事では”どベンチャー”なスタートアップに限定してお話したいと思います。それらは受託開発を行っている会社は含みません。特徴としては以下のものが挙げられます。

  • 金と人間のリソースが極端に限られている
  • 自社サービスがメイン事業である
  • 短期間でサービスを急激に成長させたいと考えている

いまでこそメンバーも増えて、オシャレなオフィスで働いているnanameueですが、当時はまさにこんな感じでした。人間不足が特に顕著で、常に全員が”時間がない”状態でした。

スタートアップ向きのデザイナー

絵なんか描けなくていいよ

“美大出てないからデザイナーはムリだと思ってエンジニアを目指しています”。こう答えるエンジニア志望の若い子は少なくありませんでした。正直言って豊かなイラストや、かわいいキャラクターなんて言うものはサービスの初期段階では不要です。デッサンのスキルなんてものはクソの役にも立たないことのほうが多いです。美術とデザインは似ているように思われがちですが、実際は全く別のもの。

Twitterのロゴなんて、いまでこそ黄金比を取り入れた美しいものに仕上がっていますが、リリース当時のものは決して”かっこいいもの”とは言えませんよね。

ビジュアルのグレードアップは、プロジェクトをスタートアップし終わってから、絵が得意な人材に任せる、というスタンスでも全く問題ありません。

やりたいことではなく、やるべきことをやれる人

これがもっとも重要かもしれません。どうしてもデザインが好きな人というのは、ビジュアルの美しさにフォーカスしてしまいがちです。DribbbleBehanceなどのデザイナーが集まる作品投稿サイトでは、非常に美しいロゴやUIが投稿されていて、それらをデザイナーが目指してしまうのは無理もありません。

Credit: https://flic.kr/p/ax7wfS

しかし、リリースが明日に迫っている新規プロダクトの行間や文字間を1px単位でエンジニアに修正依頼をする、なんてことはデザイナーの自己満足でしかありません。開発期間を引き伸ばし、当たるかどうかもわからないプロダクトのコストを引き上げてるだけ。

大切なのは、いまプロダクトに何が必要なのかを見極め、デザイナーという仕切りを超えて立ち回れるかどうか。例えばプロダクトがギリギリ機能するボーダーラインを見極め、今現在のプロダクトがそのラインをどうすれば最速で超えることができるのかクオリティーをコントロールすることも、初期段階でのデザイナーの需要な仕事です。

リリース当初のfacebook

”フォントが〜”、”アイコンの美しさが〜”、”デザインのガイドラインを作らないと〜”、なんてことをこの段階で言うような人は大企業に行ったほうが幸せかもしれません。

自分で学び続けられる人

自分で新しいことを学ぶことが出来ないと、やるべきときにやるべきことをやれません。もちろん手取り足取り教えてくれる先輩もいません。スキル的な部分においては何が必要か、この先なにが必要になりそうかを予測して、勉強しておく力も必要です。

Credit: https://flic.kr/p/bbqSKa

また、実務から”学ぶことができるか”も大事です。例えば機能Aをつけたことによって、この機能Aを含むスクリーンのビュー数が下がってしまったとします。この事実から、機能Aのような機能を設置することで、そのページのビュー数が下がってしまう可能性があるという仮説を、自分の中の引き出しに貯蓄していけると大きな強みになります。”デザインツールの使い方”以外にも、数え切れないほど学ぶことが有り、それらを貪欲に学び続ける必要があります。

英語のスキルがある

新しいことを学ぶときに、日本語でのソースを見つけることが出来ないことも多々あります。英語と日本語では、母語人口で4倍、インターネットでの言語使用人口では5倍以上の差がある上に他言語とのバイリンガルやそれらを第二外国語として扱う翻訳家なども合わせると、その差は更に開きます。

同じことを検索で調べたとしても、英語で調べたほうが質の高いコンテンツに出会えるまでのスピードが圧倒的に早い。英語を身に着けておいてよかったと思ったことはあっても後悔したことは一度もありません。

また、スタートアップは国内だとまだまだ少ないですが、一般的な企業に比べるとグローバルなチーム編成であることが多いです。日本語が話せないメンバーとも円滑にコミュニケーションを取るためにも、英語は身につけておいたほうが良いかもしれません。

ちなみにnanameue社では、福利厚生として英会話の授業料を負担してくれる上に、メンバーも非常にグローバルなので、英語が元々喋れなかったメンバーも、いまでは外国人メンバーとハツラツと会話していたりして、英語を学ぶ場としては理想的な環境ですよ!

株式会社ナナメウエの最新情報 – Wantedly

エンジニアフレンドリーであること

チームとしての開発スピードを考えたときに、エンジニアが組みやすいデザインを組みやすい形で渡してあげるということも大切です。そのためには自分自身もある程度エンジニアの業務を、さわりだけでも理解する必要があります。 Lynda.comや、 prog-8.comなんかを使って勉強しておくと良いかもしれません。

エンジニアとのコミュニケーションにも重きをおくべきでしょう。このデザインをエンジニアが実装するのにはだいたいどのくらいかかるか、わからないうちはなるべく聞きます。あなたが妙に凝ったデザインを上げたばっかりに、エンジニアの工数が増し、リリース日が遅れてしまうなんてことはあってはならないことです。”これってどれくらい大変ですか?”と聞き続けることが大切です。

さいごに

こうしてみると、大したことは求められていませんね。とりあえず気合と向上心です、みたいな話になってしまいます。つまりだれもがスタートアップのデザイナーになれます。入ってからはそれなりに大変ですが、得られるものはものすごく大きいです。

大きな企業に比べて、直面する荒波も多いですが、それをメンバー全員で乗り越えたあとにハイタッチを交わす瞬間は本当に最高でした。

また、自分の持っている価値と会社の需要が音を立てて噛み合った時、あなたは会社にとって無くてはならない存在になり、ほんとうの意味で必要とされます。メンヘラっぽいことを言いますが、この”必要とされている感覚”がもたらす幸福度は、ここに書いて説明できないほど素晴らしいものです。

東京のスタートアップは、慢性的なデザイナー不足です。少しでも迷っている若者はぜひベンチャーの荒波に飛び込んで欲しいです!きっとかけがえのない貴重な経験になるはず。


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